フリー90分。あまりいい思い出のない響き。いい人だといいなぁと思いながらドアを開ける。見事なまでの舌打ち。これが俗に言う「デジャブ」。

 

 

 

 

 

フリー客のゴムフェラをしていてふと思い立つ。北陸新幹線に乗りたい。

 

 

一度思うと、もうそのことで頭が埋め尽くされてしまう。タイミングとか、話の流れとか、全く関係がない。

 

 

 

北陸。縁もゆかりもない土地。一度も行ったことはない。

でもなぜか、確かに自分はたった今、『北陸新幹線に乗りたい』と思っている。

 

陰毛があたって鼻がかゆい。おへそを見つめる。おへそってこんな形だったっけ。北陸新幹線。

 

裏筋を舐める。フリー客が喘ぐ。北陸新幹線。

 

 

 

北陸に行きたいと言うよりは『北陸新幹線に乗りたい』。乗ってどうするのか。

例えば明日、みどりの窓口でチケットを買ったとして、乗ってどうするのだろう。北陸にいく?金沢しかわからない。金沢に行く?そもそも北陸新幹線は東京から金沢に停まるのか?金玉をさする。左手をフリー客の乳首に伸ばす。北陸新幹線、ひとり旅。

 

 

プレイが終わる。タイマーが鳴る。90分はあっという間に過ぎていく。北陸新幹線って平日も混んでるんだろうか。

 

シャワーの音。フリー客のたばこの匂い。次の予約は1時間後。オイルまみれのタオルを片付ける。北陸新幹線は今、どの区間を走っているのだろう。東京と雪國の、誰と誰を繋いでいるのだろう。

 

 

 

 

今日はじめてこの人に私から雑談を持ちかけた。

「北陸新幹線って乗ったことある?」

「え?なんて?」

予想外の質問にたばこを吸う手を止めるフリー客。

 

「北陸新幹線」

「え?ああ、あるけど、なんで?」

「なんとなく」

フリー客が困っている。だって本当になんの脈絡もないから。

 

「前に出張で乗ったきりかな。仕事だからそんな楽しくもなかったけど」

タバコを灰皿に捨て、フリー客は帰り支度を始めた。東京から金沢っていくらくらいで行けるんだ?

 

 

 

 

ホテルを出て車に乗る。鶯谷のラブホ街。まだ外は明るかった。

帰りの車の中で、北陸新幹線について調べた。

 

 

『北陸新幹線は東京駅から敦賀駅までを結び、はくたか、かがやき、あさま、つるぎなどの名称で運行を…』

 

 

 

 

あ。と声が出た。

懐かしいその4文字に目が吸い込まれる。

 

かつて自分は『かがやき』という名前の風俗店で働いていたことを思い出した。8年前、当時20歳。上野駅には振袖を着た新成人たちが楽しそうに街を歩いていた。今日は成人式だった。

 

 

 

 

ps
なんとなーく書いてみたけど全然続き思い浮かばなくて笑う