10/9の日記で。
触れられるのが快感ではないという、鳥や哺乳類などに備わっているはずの愛着本能。
快感を感じられないのは、爬虫類レベルの脳だからということもあるだろうけど、虐待児童だったりして、安心や安全というベースが育ってないのかもしれない。

今後の接客やセッションにおいて、そのような方にどのようにアプローチしていくがなど。
いまの私の仮説を記してみました。



1. 序論
小児期逆境体験(Adverse Childhood Experiences, ACEs)が成人期の精神疾患リスクを著しく高めることは、疫学的に広く知られている。
しかし従来は、「真面目さ」「誠実さ」といった性格傾向が脆弱性を高めると説明され、個人責任論や遺伝決定論に偏る傾向があった。
本稿では、オキシトシン受容体(Oxytocin Receptor, OXTR)の減少と環境要因の相互作用という新しい視点から、ACEs後の病理形成モデルを提案する。

2. 仮説の枠組み
ACEsによる慢性的ストレス曝露はHPA軸過敏化やエピジェネティクス変化を介し、OXTR発現低下を引き起こす。
このOXTR機能低下により社会的安全感や信頼感が恒常的に乏しくなる。
個体はこれを補償するために、「誠実さ」「真面目さ」といった規範的適応戦略を後天的に発達させる。

しかし、不正義・不道徳・ハラスメント環境に曝露されると、この戦略は環境と衝突し、認知的不協和を増幅させる。その結果、うつ病、複雑性PTSD(CPTSD)、愛着障害などの精神疾患が発症する。

3. 二分岐モデル
ACEs後の個体は、その後の環境との相互作用によって大きく二方向に分かれる:

規範性揺り戻し型

安全感の欠如を補償するため誠実さ・正義感を強化する。

不正義環境との衝突により慢性ストレスが増幅し、うつ病やCPTSDを発症。

不正内面化型

認知的不協和を解消するため、不正義や不誠実を「当たり前」として内面化。

共感の喪失や道徳的麻痺を伴い、不正義の再生産に加担する。

4. 従来の「性格素因」概念の再定位
古典的に「うつ病素因」とされた以下の概念は、本モデルにより再解釈が可能である。

メランコリー親和型性格:几帳面・責任感・規範意識の強さ。

執着気質:対人関係や社会規範に過剰に依存し、裏切りや不正に傷つきやすい。

抑うつリアリズム:他者の不誠実や不正義を過度に正確に認識しやすい傾向。

愛着障害:安全基地の欠如により「過剰な信頼欲求」と「つながりへの恐怖」が併存する状態。

これらはいずれも「遺伝的性格素因」ではなく、ACEsによるOXTR機能低下と、その後の環境によって形成された二次的産物である。
したがって、「真面目さが病因」という通説は誤りであり、むしろ誠実さはACEsに由来する適応的結果と理解すべきである。

5. 理論的含意
精神疾患の発症は「個人の性格」や「遺伝的素因」ではなく、ACEs当時とその後の環境要因の相互作用による。

規範的適応戦略は、公正な環境では保護因子として働くが、不正義環境では病理化する。

よって「性格」と見なされてきた特性を、後天的環境適応の産物として再定義できる。

6. 臨床的含意
治療の焦点は「誠実さの矯正」ではなく、安全な関係性と社会的誠実性の回復に置かれるべきである。

具体的には、

安全な愛着関係を再構築する心理療法(EFT, MBT, スキーマ療法など)

身体介入(HRV呼吸、温熱、タッチ、境界×温かさの両立)

誠実で予測可能な社会環境の整備
が「オキシトシン生態系」を回復させる介入となる。

7. 社会的含意
不正義・ハラスメント環境は、個人の病理化だけでなく、
「規範性の揺り戻し」と「不正内面化」の両ループを増幅する社会病理を生む。

したがって、社会的誠実性の担保は精神医学的にも不可欠であり、公衆衛生上の課題である。

8. 結論
愛着障害・CPTSD・うつ病・メランコリー親和型性格・執着気質・抑うつリアリズムは、いずれも遺伝的性格素因ではなく、ACEsとその後の環境による神経可塑性の結果として形成された二次的産物である。

発症の決定因は遺伝子ではなく、ACEs当時とその後の環境要因の相互作用にある。

誠実さは病因ではなく、ACEs由来の適応戦略であり、公正な環境下ではむしろ回復資源となる。



写真は、函館の旧公会堂。




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