ペンギン・レッスン

ピーター・カッタネオ監督作
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素晴らしいの一言に尽きる
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ガッツリと軍事政権下の
アルゼンチンの政局と紛争を描いた
イギリス人教師の
数奇な実話を元にした映画だ
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残念ながらほのぼのした
愛らしい動物ドラマではない
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1976年頃に「汚い戦争」と
揶揄されたアルゼンチンの
重苦しい社会背景が丁寧に描かれている
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とある出来事に、自分の人生を
投げやりに生きる中年の教師トム
彼は様々な国や地域を渡り歩き
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軍事政権下のアルゼンチンで
裕福な私立の寄宿学校の
英語の教師として赴任する

到着早々爆発音を背景に始まり
癖のある他教師や
集中とは無縁な学級崩壊気味で
手のかかる生徒達
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だが赴任してすぐ戦禍の身の危険から
学校閉鎖による「1週間の休暇」を
言い渡されてしまう
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気晴らしにリゾート地へ向かった教師は
酒とダンスを楽しみ
明け方、目当ての女性と海岸デート中
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重油まみれで浜辺に打ち上げられた
ペンギンの群れの死骸を発見する
その内1匹だけ
息のあるペンギンがいた

関わりたくない教師と
人道的に救おうとする女性

下心に負けてペンギンを連れ
ホテルで重油を洗い流して
救い出したものの

教師はあっさり女性に振られて
ペンギンだけが残り
1週間の休暇は幕を閉じる
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海に帰しても教師の元に
戻ってくるペンギン
助けたのに何故連れていかないのか
周囲の人々に問われ閉口する教師
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とどめは国境ゲートの軍人に
連れて行け、逮捕すると脅される始末
こうして教師とペンギンの
おかしな寄宿舎の共同生活が始まった

だが終日ラジオでかかる軍歌
監視され、国の不穏分子を疑われ
教師の周りの人が次々と軍に攫われてゆく
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教師の寄宿舎の若い清掃婦
ペンギンの餌の為に立ち寄った魚屋
裕福な教室の生徒の親
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言論弾圧で自由は崩れ
軍事政権の凶暴性はエスカレートする
まして自国でもない恐ろしい事態に
関わりたくない教師だが…

ペンギンは周囲の人を
全て巻き込み
暗闇の中の焚き火のような
不思議な温かさを与えてくれた

愛娘を軍に攫われた老清掃婦
私立学校の運営と国の間に立つ校長
イジメの的だった生徒
別れた妻を忘れられない理化学教師
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そして
固く閉ざした教師の真相でさえも…
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誰もがペンギンに導かれるように
それぞれの道を進み始めるが
唐突にペンギンは亡くなる

ペンギンが最後に残した奇跡と
教師の苦い独白が胸に刺さる

映画終わりには実際の活写フィルムと
まだ生きている時のペンギンの姿が
一瞬だけ現れ、今だに続く
アルゼンチンの悲しみを最後に描く
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個人的には近年ご無沙汰な
良質で意義深い社会派の映画だった

(多少都合良すぎる感は否めないものの
問題提議や教師の独白が光る逸品)


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